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2007.04.04

星の王子様

少し前から、書店で、表紙の絵を見て「星の王子様」だと思ったら、「小さな王子」といったようなタイトルの本をよく見る。それも、様々な出版社のものがある。
フランス語の原題がLe Petit Prince(小さな王子)なのだが、日本ではこの作品は従来、岩波書店が独占で販売し、そのタイトルが「星の王子様」であるので、これがすっかり浸透してしまっているのである。
ではなぜ、最近になって原題通りのものが沢山出てきたのかというと、著作権切れとなったからであり、原文が自由に使用できるので、誰でも自分で翻訳して出版しても構わないという訳である。
ただ、「星の王子様」という題名は、岩波書店版の翻訳者である内藤濯(ないとうあろう)氏の考案であり、勝手にこの題名を使って良いものかどうかは分からないが、岩波書店の方では、このことを明記してもらいたいとだけ述べている。これは論創社が「星の王子様」の書名で新訳を出版したことに対してのコメントであるが、論創社の本に関しても重版からで良いとしたようだ。
岩波書店の主張の理由は、あくまで、内藤濯の創造的営為に対する敬意を示して欲しいというものである。

こんな話を聞くと、すぐに思い浮かぶのは、ダンテの「神曲」である。
実に数多くの翻訳が出ているが、おそらく全て「神曲」の書名であると思う(この本は詩で書かれているが、これを小説風にした「神曲物語」というものもある)。
ところが、この本もイタリア語の原題はLa Divina Commedia(神聖なる喜劇)であり、ダンテ自身が付けたタイトルは単にCommedia(喜劇)である(ボッカチオが「神聖な」を後から付けた)。
この「神曲」の題名が付いた理由が面白く、結論として森鴎外が付けたことになる。
実は、森鴎外が、アンデルセンの初期のヒット作「即興詩人」を翻訳したのだが、この作品の中にダンテの「神聖なる喜劇」について語られるところで、鴎外はこの叙事詩を「神曲」としたことから、この題名が用いられるようになったようだ。
尚、鴎外訳の「即興詩人」は、岩波文庫およびちくま文庫から出ているが、鴎外の格調高い文語体で書かれてあり、読みこなすのは大変である。(鴎外はドイツ語訳を翻訳した)

本題と外れ、「即興詩人」の話であるが、これはあくまで創作小説であるのだが、アンデルセン自身が、小説の舞台であるイタリアを旅行している。この中で、主人公アントニオが出会う盲目の美少女ララは、アンデルセンがスペインで実際に逢った盲目の少女がモデルであることは明らかと思う。「即興詩人」では、ララの年齢は「12より多くはない」とあった。「アンデルセン自伝」では、その少女は貧しく、ボロをまとい、飾りとしては、黒髪にスミレの花をさすのみとある。しかし、神殿の石段に座っていた彼女は「美の化身のよう」であると、最大の賛辞を書いていた。
アンデルセンは金持ちではないがヨーロッパからアメリカにまでその名が知れていた著名人であり、美人女優や美人歌手ともよく会ったが、浮名を流したことはない。それでも、このララのモデルと思える少女をこれほどに印象に残しているところをみると、ルイス・キャロルのように少女趣味の面はあったかもしれないと思う。アンデルセンは、17歳くらいになっても、人形に着せる服を裁縫で作る趣味があり、このあたりからも彼の少女趣味は想像できるが、ルイス・キャロル同様、無害なロリコン(?)であったようだ。

ダンテも9歳くらいの時に出逢った同じくらいの年齢の美少女ベアトリーチェを生涯崇拝し、「神曲」の中でも天女としてヒロインの扱いをしているが、少女崇拝も高貴な想像力と結びつけば、素晴らしい芸術を生み出すものだと思う。

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Comments

今日は!!
今日は同じテーマ(星の王子さま)のブログ記事をアップしました。
内容はぜんぜん違いますが。
それにしてもkayさんは物知りですね。
色々雑学が頭に入ります。ありがとう

Posted by: | 2007.04.05 at 01:45 PM

私も、そちらのブログを見て、ニンマリしましたよ^^
実は私も、星の王子様の挿絵の原画が見つかったニュースを見て思いついたことを書きました。
挿絵画家としては、フランスの天才イラストレーターであるギュスターヴ・ドレが好きです。彼は水彩も油彩も抜群ですが。

Posted by: Kay | 2007.04.05 at 09:40 PM

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