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2007.04.27

百年バレない嘘

すぐにバレる嘘はやめた方が良い。
しかし、百年バレない嘘であれば有益であることも多い。
これは、世界的数理物理学者ロジャー・ペンローズの仮説「ツイスター理論」について、「ペンローズの量子脳理論」(徳間書店)で訳者か解説者が書いていたことだと思う(私もいい加減だなあ^^;)。
科学においては、嘘か本当か分からない仮設は、たとえ嘘であっても、研究者に素晴らしいヒントを与え、科学を発達させることがよくある。おそらく、「ツイスター仮説」もそのようなものだというわけだ。

2千年バレなかった嘘(というわけでもないが)の有名なものにユークリッドの「平行線の公理」がある。
「ある1点を通るある直線に平行な直線は1本である」というものだが、誰も証明できないものだから公理(正しいと仮定される事柄)から昇格できない。そして、これを証明しようとして、優秀な数学者が何人も人生を棒に振ったのだから、少なくとも数学者にとってはあまり有り難いものではない。ヤノーシュ・ボヤイもそんな数学者であったが、息子のウォルフガングがこの問題に取り組んでいるのを見て慌てて止める。
「お父さんを見なさい。これに取り組んだせいで、こんなに落ちぶれてしまったのだよ」
だが、息子は凄かった。「ある1点を通るある直線に平行な直線が1本であるとは証明できない。よって何本あっても良い」と、まっとうなことに気付いた。非ユークリッド幾何学の誕生である。

ところで、宗教においてはどうであろう?
キリストの教えが嘘かどうかはともかく、2千年もの間人類に影響を与え、その勢力はまだまだ健在である。何か、「年をとってもまだまだお元気」と言われて、若い嫁さんをもらう金持ちじいさんを想像する(何という発想^^;)。
で、イエスの教えは、人類にとって良いものだったのだろうか?
アイルランドのノーベル賞作家であり、20世紀最大の詩人とも言われるW.B.イェイツは、「再来(The second comming)」という詩の中で、「石のような2千年の眠りが、ゆらゆらと揺れるゆりかごによって悪夢をもたらした」と書いているが、石のような2千年の眠りとはキリスト教の2千年の歴史であり、それは悪夢をもたらしたとする。イェイツは、ニーチェやワイルド同様、アンチ・キリストである。

手塚治虫氏の有名な「ブラックジャック」という漫画で読んだことがあるが、貧民街で母親に虐待されながら育った若い男が、整形手術で死亡した金持ちの青年の顔になり、年老いたその青年の母親を騙して、富豪に収まろうとした。ところが、その母親に会うと、彼女は家の財産は全部なくなったと言い、彼は驚き後悔する。とりあえずは、ボロ家にその年老いた母親と住むが、彼は働くはずもなく、家でゴロゴロし、その年老いた母親が働く。だが、その母親は不満1つ言わず、息子と住めることを喜んで献身的に息子と思っている男の面倒を見る。
自分の母親とのあまりの違いに、男はかえって嫌悪感を抱いたかもしれないが、やがて彼は言う。「ママはもう働かなくていい。ボクが働く」。男は懸命に働き始めた。しかし、やがてすぐに、母親は事故で死ぬ。母親は死の直前に彼に打ち明ける。「私はあんたの本当の母さんじゃない。あんたを騙して金を取ろうと思ったのさ」

そういえば、男女関係でも、男が女を騙す時は、女は一生騙された方が良幸せな場合が多いらしい。
嘘とは奥が深いものである(笑)。

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