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2007.03.06

天然加速装置

アインシュタインは、相対性理論を簡単に説明するのに、「ストーブの上に座っている1分は長いが、可愛い女の子と一緒にいる1時間は短い」といったようなことを話したそうだ。
ところで、アインシュタインが1905年に博士号論文としての特殊相対性理論の論文を提出する4年前、英国のSF作家H.G.ウェルズは「新加速剤」という作品を発表している。「加速剤」とは人間の行動・思考力を千倍化する薬品で、これを服用すると、周りの世界はほとんど停止して見える。
時間があらゆる場所で同一ではないことを、主観的体験に置き換えると理解しやすいというものである(もちろん、相対論では意味は異なるのだろうが)。
手塚治虫氏が、やはり漫画の中で加速剤を登場させたことがある。ただ、この加速剤は、ウェルズのものと異なり、精神速度のみ加速させる。だが、加速剤を服用した男は肉体の動きも加速されると思い違いをし、銃殺される直前に薬を服用し、弾丸が身体に達する前にエスケープしようとするがそれができず、かえって長い恐怖と苦痛を味わうことになってしまった。
石ノ森章太郎氏の「サイボーグ009」には、009(ジョー)とジェット(002)に加速装置が装備され、スイッチを入れると、思考・行動とも加速され、周りの動きがスローになる。戦闘の上では圧倒的有利となるわけだ。

ところで、時間感覚というものは左脳の機能で、右脳にはこれがないらしい。よって、右脳が主に支配するような活動では、長い時間が過ぎても気付かず、いわゆる「あっという間に時間が過ぎてしまった」ということになる。絵を描くというのも本来は右脳の管轄であり、夢中で絵を描いていると気付かないうちに時間が過ぎてしまうことになる。
また、一瞬間が長く感じる印象的な経験をお持ちの方もいると思う。
野球選手では、バッティングの調子の良い時は、ボールの縫い目が見えるというが、これも主観的時間が加速され、ボールが遅く見えるというものかもしれない。尚、実際に生理反応速度で主観的時間は異なるらしく、一流のバッターは右脳の活性化と共に、なんらかの生理的要因もあるのかもしれない。
戦国武将の話でも、初陣の際、最初は恐くて仕方がなかったが、ある緊張点を越えると、心が澄み渡り、敵の動きが刻銘に見え、たやすく倒せたという話もある。
使い方は明確ではないかもしれないが、我々には天然の加速装置が備わっているのかもしれない。

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