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2007.02.21

美女と醜女

ヴィクトル・ユゴーの「レ・ミゼラブル」は、主に子供向けの本では「ああ無情」のタイトルが付けられている。
しかし、この小説は簡易化して子供に読ませる意味があるとは少しも思えない。
ある程度の人生経験を積んでこそ、多少なりとも価値の分かる作品であると思う。
確かに、私も子供心に、司教のところから銀の食器を盗んだジャン・ヴァルジャンをその司教が警察に対して嘘の弁明をする場面は感動的であるとは思ったが、その複雑な背景が理解できないことには、この司教はただの優しい人、あるいは、お人よしである。

で、私は小学5年生の時、いよいよ旺文社刊の「大人向け」の「レ・ミゼラブル」に挑んだ。しかし、冒頭部分の聞きなれないフランス語の地名や人名、そもそも意味不明な言葉や、イメージの沸かない状況描写など、全く歯が立たないことが分かった。
しかし、ただ1行、鮮烈な印象に残った部分があった。
それは、かのミリエル司教の妹であるバティスティーヌの記述で、「若い時でさえ美しくなかった」という部分である。
彼女は65歳位であり、当然その年齢では美しいはずがないが、若い時でさえ美しくなかったとは・・・。私は説明できない異様な感情に囚われた。

小学4年生の時、クラスにA子という大変な美少女がいた。美人なんてものは好みの問題もあろうが、彼女に惹かれない男子は考えられなかった。また、彼女は勉強も女子では1番で(男子にもっと凄い秀才がいたので)、さらに体育も優秀で、とくに足が速く、女子では無敵であった。いや、音楽でも何でも、彼女にできないことはなかった。
そして、クラスにB子という、全く美しくない女子がいた。小太りで表情も陰気で意地悪な雰囲気であった。さらに、勉強もスポーツも音楽もあきらかにダメであった。
性格的にも、A子は抜群かどうかは別として、明るく快活であり、礼儀正しかった。B子についてはよくは分からなかったが、雰囲気が暗いのは確かだった。
私はこの時、人間の宿命について考え込んだ。同じ年の女の子であるのに、なぜこうも違うのか?B子が生きる意味があるのか?(いえ、子供の頃のことなので^^;)

で、バティスティーヌである。
若い時でさえ美しくなかった彼女の辛い人生を思わず想像したのかもしれない。小学5年生で考えの及ぶ範囲はたかが知れているが、それでも気が滅入るに十分であった。
しかし、彼女は、気高い生き方を貫くことで、老人になって高貴な美しさを持ったとある。
だが・・・^^;
たとえ小学生でも、男子による女子のスカートまくりは猥褻行為であり、犯罪であることを認識させないといけない。その意味で問題ではあるのだが、アニメ「ひみつのアッコちゃん」(1988年版)のある回で、可愛いアッコのスカートは沢山の男子から狙われるが、そうではない彼女の親友のモコが「私もやって欲しい」と思っていることをアッコに告白したことがあった(と思う^^;)。
アッコも小学5年生であったと思うが、バティステーヌはモコ以下の立場であったことが想像できる。年をとってからの高貴な美しさより、若い頃のアッコのような魅力の方が楽しいし、メリットも大きい(笑)に違いない。
だがしかし、美人は年をとった時の落胆も大きいと聞く。若い頃は、下心からだろうが、男共が親切にしてくれ、見られることも快感である。しかし、ある時期から、誰も「見てくれなく」なる。美人の楽しさを知っているだけに苦しみも大きい。年をとってしまえば、若い時に美人だったかそうでないかでさほどの差はない。よって、美人でなかった方が心安らかかもしれない。また、自分が年を取ったことに気付かないか、必死でその事実を拒否する「元」美人も少なくはないが、これは大変に滑稽で悲惨である。

だが、美しさもまた、単なる想像であり幻想である。
本当の幸福を与えてくれるわけではない。美人は心の片隅にでも憶えておくと良い。

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Comments

80代の老人男女数人に、「人生で不必要なもの」をアンケートで聞いた所、一番は「容姿の美しさ」だったらしいですよ。
ブスでも楽しい人生はあるし、綺麗と賛美されてもいい人生とは言えないこともありますよね、きっと。
私は、適当に美しくてそれなりに楽しい人生が一番だと思います。

Posted by: MAMA | 2007.02.22 12:07 AM

「美女」について楽しく読ませていただきました。人生に不必要なものの第1が容姿の美しさとは、勇気づけられました。

Posted by: yuyu-museum | 2007.02.22 06:48 PM

MAMAさん、こんばんは

>80代の老人男女数人に、「人生で不必要なもの」をアンケートで聞いた所、一番は「容姿の美しさ」だったらしいですよ。

作家の落合恵子さんが、40代の頃、「この年になれば、顔なんてついていればいい程度ですよ」と言っておられたのを思い出しました。

>ブスでも楽しい人生はあるし、綺麗と賛美されてもいい人生とは言えないこともありますよね、きっと。

私は全く無関係と思います。

>私は、適当に美しくてそれなりに楽しい人生が一番だと思います。

私は、まあ、その場所で不快感を与えない程度にとは思います。
ただ、求めるのは至福です^^;

Posted by: Kay | 2007.02.22 09:54 PM

yuyu-museumさん、こんばんは。

>人生に不必要なものの第1が容姿の美しさとは、勇気づけられました。

確実に不必要ですね。
「美人だなあ」「美男子だなあ」と思うのは、確実に文化的洗脳であり、何の根拠もありません。
それに、すぐに失われるものですし。

Posted by: Kay | 2007.02.22 09:54 PM

私も 美人ではなかったですが、
ここ数年除けば、とても幸せでしたよ。
今 きつい時期を越えれば、それこそ数年の不幸感は
ぬぐいされます〔笑〕。
美人か不美人かというよりは、囲まれている人、で
幸せ感は決まりますね、トータルで不美人でも
恵まれている人生かな、と思います^^。
数年の人に恵まれない時期、遡ればかなり恵まれている環境と人、
という意味では、美人不美人は関係ないでしょうね、
心のあり方で 決まるような、きもするでもないです。

Posted by: 通りすがりん | 2007.02.23 09:08 PM

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