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2006.12.28

突然に芸術を理解した

憎しみと愛の考察を続けるうちに、芸術が理解できてしまった(本当か?)
披露する(偉そうに・・・^^;)

みなさんも、家族、学校、会社の中で、嫌いな人、憎んでいると言ってもよい人というのが存在するかもしれない。
そして、強く憎んでいる相手を本当は愛しているのだと言われたら、決して認めない場合がほとんどと思う。
あるいは、憎しみと愛は同じということを信じないと思う。

萩尾望都さんの短編漫画の傑作に「半神」というものがある。
シャム双生児の姉妹がいた。腰のところでくっついた姉妹なのだが、姉の身体で二人分の栄養が作られるようになっていた。ところが、栄養のほとんどは妹の方に行ってしまう。姉はひなびたキュウリのような容姿で髪もほとんど生えないが、妹は天使のように美しい。
しかし、妹は知恵遅れで足腰も弱く、姉は妹を抱えて歩き、日常の全ての世話をしなければならなかった。姉は頭が極めて良く、本を読んだり勉強するのが好きだが、妹は砂場などで遊びたがる。そんな妹をたしなめると、いつも自分が怒られる。これはなんと、世の中の姉や兄の苦悩を常識外れな強さで味わうということである。しかも、みんなが美しい妹ばかり褒めるのである!
そして、二人は分離手術をされることになる。姉の身体でしか栄養が作られないのであるから、成長していく二人には足りず、放っておけば二人とも死ぬ。しかし、分離すれば、栄養を自分で作れない妹は死ぬ。
手術すれば二人とも死ぬ可能性もあった。しかし、姉はそれでも喜んだ。妹から解放される可能性があるなら、なんでもしたかった。
手術は成功し、姉は一人になった。リハビリが進み、普通の子供のようになった。そして、手術後、初めて姉は妹と面会することになる。妹はもう長くはないという。妹の病室に入ると、そこにはかつての自分がいた。ひなびたキュウリのような姿で髪もない。いや、かつての自分と違い、起き上がることすらできない。妹は姉に気付くと、そのグロテスクな顔で微笑む。妹は何も分からないまま死んでいった。
その後、自分の身体で作った栄養を自分の身体で使える姉は健康になり、髪も生えてきた。鏡を覗くと、日に日に普通の少女になっていく自分がいる。そして、天使のように美しかった妹とそっくりになった。普通に学校に行き、美少女なのでボーイフレンドも沢山できた。全てに恵まれ、青春の楽しさを満喫していた。
しかし、「鏡の中の妹」と逢う度に姉は思い知る。妹を憎むこともかなわぬほど憎んでいたことを。そして、愛することもかなわぬほど愛していたことを。


では、あきらかに憎しみを抱かせる行為をした相手に対してはどうだろうか?
同じであると言ったら、猛反発を喰らいそうだ^^;
紛らわしい言い方をしてきたが、愛というものに区別はない。愛するという時、本来、特定の対象はない。全てを愛しているのである。でなければ愛ではない。
イェイツは「愛は神の領域、憎しみは人の領域」と言ったのは、なんとも的確だ。
好ましくない行為をした相手に対しても、自分の愛を止められないのである。しかし、目の前の悲惨を見て、愛は無いと思う。となると、失ってもいないものを求めることとなり、これを憎しみというのである。
イエスは「汝の敵を愛せよ」と言ったらしいが、多くの人は「んなこと出来るか!」と言うであろう。しかし、実際は、言われなくても愛しているというのが事実だ。
愛と性的魅力は何の関係もない。誰もが、美人もブスも同じように愛している。しかし、ブスは愛していないと思うから、憎しみを感じるのである。

芸術の恩恵とは、ロマン・ロラン(「ジャン・クルストフ」の著者であるノーベル賞作家)によれば、「大洋感情」であるらしい。没我的な世界との一体感として体験される感情である。
おそらくは、岡本太郎の「爆発」、夏目漱石の「天賓」も同じことを言っている。
心理学者のマスローのPE(Peek experience.心理学用語「至高体験」)も同じと思う。
イェイツは、ドストエフスキーやエリオット同様、特別な名前を付けなかったと思うが、これを強く意識していた。そして、「それは、憎むのをやめた時に起こりやすい」と書いている。当然である。失われてもいない愛を狂ったように探すことをやめるのであるから。
芸術は憎しみの昇華であると思う。よって、芸術は爆発なのである。

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Comments

のっけから、面白い、、相変わらずに、、いや、失礼、、楽しい!
今日、まだ読んでいない岡本太郎氏の本を4冊購入しました。
「書の本」で感銘を受けることより、岡本氏の所感は、響きます。
年を経ても変わることの無い響き方です。褪せません。
クククッ、、「突然に芸術を理解した」という今日のタイトル、、
全く最高で、痛快です!!思わず「よく言った!」と拍手でした。
敬服致しましたよ。
来年もまた存分なる「論」を楽しみに、そして期待しております。
ミラクルkay殿、あなたは面白い!!!

札幌にて。

Posted by: 華文字 | 2006.12.29 at 10:58 AM

華さん、ご無沙汰です!

をを!ミスティーKayからミラクルKayに格上げです!(笑)
トリプルサルコウ成功が嬉しかったです!(え?)

「あたしゃ、げーじゅつを理解したんだよお(じたばた)」
って、クールな私をちびまるこちゃんにしてはいけません^^;
「そうか!偉いぞまるこ」
って、分かってくれるのはおじいちゃんとインザちゃんだけか(わんわん)。

そーかそーか、あたしゃ面白いだけの人だったんだね・・・(にゃんにゃん)
今宵は自画像も張っておきますよ(まじですかあ~)

岡本太郎を4冊!気合い入りまくりですね!
私はあの人の本では「美の呪力」が一番好きですね。「赤いうさぎをあげましょう」です。

札幌ですか?また寒いところにおられるのですね^^;
カニでゴージャス鍋といきたいところですね。
そんなこんなで来年もよろしくですう。

Posted by: Kay | 2006.12.29 at 10:10 PM

「半神」って深津絵里が舞台でやったのですよね?見に行きたかったんですが、行けませんでした。そういうお話だったのかぁ。

今年も楽しいKayさんおめでとう。(←意味不明)

Posted by: lemoco-layco | 2007.01.02 at 09:49 PM

lemoco-laycoさん、本年もよろしくおねがいいたします。
楽しい「だけ」のKayです(もうヤケ^^;)
私は、「半神」の舞台の存在すら知りませんでしたが、その通り、この舞台の原作は、萩尾望都さんの漫画で、萩尾さん自身、この舞台に関わっています。
基本的なストーリーはそのままと思います。ただ、舞台にするには短すぎるように思われ、多少の追加のお話はあると思います。
私も見てみたいものです。

Posted by: Kay | 2007.01.02 at 11:54 PM

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