聖者とピカソ
南インドのアルナチャラ地方に、1950年に亡くなるもいまだ多くの巡礼者が絶えないラマナ・マハリシという聖者がいた。沈黙の聖者とも呼ばれ、ほとんど会話を行わなかったと言われ、特に何かをしたというわけでもなかったが、インドを代表する聖者の一人と認められているようだ。
他の有名な聖者がいろいろな醜聞を晒してしまうことがあるが、ラマナ・マハリシに関しては、おそらく何も出ることはないと思う。ふんどし1枚以上、何も所有せず、講演したり著作を出したわけでもなく、特別な修行を考案したり人気タレントと交流したわけでもないので当然とは思う。そんな彼を、最も純粋な覚者(悟りを得た者)と言った人がいたが、その通りかもしれない。
そのラマナ・マハリシについて、印象深い話がある。
マハリシが、木の棒を削って杖を作っていた。1日中制作を続けていたが、出来上がった杖があまりに見事なので皆が驚いた。しかし、マハリシは、そこをたまたま通りかかった羊飼いの少年にその杖をあげてしまう。
無執着の行とはいかなるものかを無言で教えたものと言われる。
ついでに、こんなことを思い出した。
ピカソは近所の子供の似顔絵を描いてプレゼントしていたようだ。当然無料である。
岡本太郎が「子供が、絵が気に入らないと言ったらどうするのだ?」と聞くと、ピカソは「描き直すよ」と答えたそうだ。
2つ共、非常な感慨を覚える話であると思った。
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