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2006.10.10

ニュートンの林檎は無駄話

よく、「難しい話を明解に話すのが頭のいい人だ」と言われる。
それは一面の真理と思う。
しかし、注意しないといけないのは、その「分かりやすい話」が役に立ったり、本質を理解させてくれるということは絶対にないということである。
当たり前の話だが、なぜかそれを認識しない人が多い。

作り話かもしれないが、ニュートンが万有引力の説明に林檎が落ちる話をしたと言うが、その林檎の喩えを聞いて、万有引力の何が分かるというのであろう?
数学者の矢野健太郎さんの本にこんな話がある。最初はニュートンもそれなりに真面目な説明をしていたらしいが、万有引力とは何かと質問をしてくる社交界の方々は、知的好奇心からではなく、挨拶代わりか、面白い話を期待しているだけである。
それが分かったニュートンは、誰にでもすぐに分かり、そこそこ面白い林檎の話を考えたというのが本当のことらしい。

アインシュタインも相対性理論について尋ねられると、こんな話をしたらしい。「ストーブの上に座っている10分間は長いが、美女といる1時間は短いでしょう?」

一般人は頭を使うのが嫌いだから、これらのような話を好む。しかし、一事が万事これでは困るのだが、最近は特に「分かりやすく心地よい話」ばかり求める傾向がある。よって、馬鹿げたテレビCMにその気にさせられ、細木数子を賢者と大誤解し、占いを信じ、新興宗教に大枚を巻き上げられるのである(笑)。

ITスペシャリストたる私を面食らわせるのは、雑誌や新聞で一般人相手に「オブジェク指向」の説明が掲載されることだ。特に10年ほど前は、そのようなことが盛んに行われていた。オブジェクト指向ブームである。
断言しておくが、コンピュータプログラミングをよほどやっていない限りオブジェクト指向など絶対に理解できない。土台、これらの雑誌記事の「誰でも分かるオブジェクト指向」が私にすら分かった試しはない(笑)。
ソフト開発技術者でも、オブジェクト指向を理解している人に会ったことは滅多にない。
「コピーを取ってくれる女子社員は、コピーの取り方を知っていて、コピーを取れという指令を出すとそれを実行する。この女子社員はオブジェクトである」
なんとも失礼な解説である(笑)。

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