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2006.10.05

「痛いの痛いの・・・」はなぜ効くか

小さい子供が、軽い怪我をして泣いている時なんかに「痛いの痛いの、飛んでけ~」とか言うことがあると思う(大人相手でも?)。
これが効く場合と、効かない場合がある。
効かない場合の代表は、かなり痛い場合だ(当たり前だ)。それと、「痛いの痛いの・・・」と言ってる者を子供が信用していない場合である(悲しい)。
母親などにこう言われたら、痛みがなくなるわけでもないのだろうが、子供が泣きやむことも多い。
ではなぜ、このようなことが起こるか知っているであろうか?
暗示というのとは違うのだ。

上記の例は、怪我の場合であるが、要は、子供が驚いた場合と考えれば良い。
例えば、でっかい犬がいきなり現れ、子供が泣き出した場合でも、母親が、「大丈夫よ、ほら」と言って、犬をあやしてみせれば子供は泣き止む。
仮に幽霊が出た場合でも、母親が「大丈夫よ、ほら」と言って幽霊とハグすれば、これも同様である(有り得ないが)。

子供は、怪我をしたり、大きな犬と対峙したり、幽霊を見た時、そのことの大変さ加減の見当がつかないのでパニックに陥るのである。それを、信頼する大人が「大丈夫だよ」と言ってくれれば、それが大したことではないと分かり、安心して泣き止むのである。

尚、こういったことは、子供に限らず、大人にも重要な意味がある。
何かのトラブルに見舞われてすっかりパニックに陥った時、そのトラブルの実際の大きさを認識すると、案外に大したこともない場合が多い。
小市民というものは、些細なことで大騒ぎすることをご存知と思う。
何かつまらない不満で大騒ぎしている人々に「北朝鮮のミサイル接近中」というニュースがあったら、彼らは、さっきまで話題にしていた不満の下らなさに気付くはずだ。

こんな印象深い話がある。
昔、ロシアの捕虜収容所で負傷した日本人兵士が死に掛けていた。重症で、どう見ても朝までもつまいと思われた。
ロシア人兵士は、日本人捕虜の中にいたコックに、「最後に何か食べさせてやれ」と言った。コックが、その瀕死の兵士に「何を食べたい?」と聞くと、彼は「パイナップル」と答えた。そんなものがあるはずがない。だが、林檎があった。コックは、林檎をフライパンと砂糖で調理し、パイナップルのようにした。兵士はそれを残らず食べた。
しばらく経ったある日、コックが外を歩いていると、誰かに呼び止められた。なんと、あの兵士である。信じられないことに、彼は元気そうだった。
彼は言った。「あんな美味いものが食えるなら、もっと生きてみようと思った」

この兵士はなぜ生き延びたのか?私は、本人が言うように、美味いものを食うという楽しみを見出したためと思っていた。このコックは後に有名なコックになったことから素質があったのだろうし、その林檎のパイナップルは彼の得意料理にもなった。この時も、本当に美味しくできていたのではと思う。
しかし、今では、私は彼は精神的に死んでいたのだと思う。そうなると、人間は現実感を失い、自分の心が自分を滅ぼす。だが、美味いものを食べた時、現実感が蘇ったのだと思う。すると、自分を滅ぼそうとする心の牢獄の罠に気付く。
パニックに陥った子供も大人も、現実感を失い、妄想に捕らわれている。なんらかの手段で、妄想を振り捨て、現実感覚を取り戻すと、生きるエネルギーが沸いてくるのである。

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