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2006.09.30

ギュスターヴ・ドレ

絵を見て、「上手いなあ」という以上の「凄いなあ」という感嘆や、さらにそれ以上の衝撃的感情を持ったことがあるだろうか?
岡本太郎のような大芸術家であれば、初めてセザンヌを見て涙が止まらなかったということもあるのかもしれないが、そのようなことが誰にでもあるものだろうか?
また、いかに大画家の作品であっても、一般の人がピカソやダ・ヴィンチの絵を見て、大きな衝撃を受けることはあまり無いとは思う。

私の場合は、ギュスターヴ・ドレの絵を初めて見た時に非常に感激したのを憶えている。
ただそれは、額に入った油絵ではなく、本の挿絵である。普通の本よりはやや大きくA4サイズ位の本であったが、言って見ればそのサイズに収まる程度の大きさである。
そして、カラーではない。塗ってもいない。全て線画(版画)である。濃淡は線と線の密度で表されている。しかし、それがものすごいリアリティで、荘厳さや迫力に満ちている。
山の斜面に横たる象の存在感や、山の峰を覆う巨大なナマズのような化け物の迫力などにあっけに取られ、陰影を線で表現したヴィーナスの肌の滑らかさに驚く。
そして、輝きながら集って飛ぶ大勢の天使の様子は、ミケランジェロやラファエロの絵にさえ感じなかったリアル天国を見た気がした。
ドレは紛うことなき天才であるらしい。少年の頃、世界の古典文学の挿絵を描こうと決意したらしく、特に聖書とダンテの神曲には思い入れがあったようだが、もちろん、これらに素晴らしい挿絵を描いている。
ペロー童話の挿絵も描いており、その本は今でも日本語のものが入手できる。私は、この本の「赤ずきんちゃん」の挿絵で、赤ずきんちゃんと狼が一緒に立っている絵がなんとも素晴らしいと思った。狼がとても大きく見えるし、ドラマチックさも十分だ。
ドレは、油彩や水彩でも、歴史的な巨匠達に全く劣らないと思う。上手いといえば確かに上手いのであるが、それだけではない情感や神秘性は圧巻と思う。

ドレを扱った人気サイトはここ

ドレの絵は、英語版の書籍になったものがアマゾンの洋書コーナーで買えるものが多い。
「Gustave Dore」で検索すると良い。
日本語のものでは、お話付きの良いものがある(挿絵を描いているのだから当然だが)。アルケミア出版の「寓話」シリーズは、1冊5千円位するが、豪華な良い本と思う。文章も名訳であり、面白い。

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