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2006.09.20

ある高貴な御方の出産に寄せて

最近、やんごとなき身分の御方が男児を出産され、それはわが国はもちろん、世界的ニュースにもなった。
母親はややご高齢で、身体的にも少し問題があったようであるが、最高の医療設備の中で最優秀な医師を専属とし、精神的ケアまで万全で、ご本人も感謝の言葉を口にされておられた。
そのような時、私の頭の中に浮かんだヴィジョンがある。
日が落ちると底冷えのする荒れ果てた地。朽ち果てた不潔な小屋の痕。食べるものも着るものもないやせ細った年端もいかない少女がただ一人、迫り来る出産に震えている。別に彼女を娶るつもりもなかった父親はもうとおに姿を消している。

この世界は、どうも真っ反対なものが必ず存在するらしい。
私が高校生の頃、ある国の優雅な社交界の様子がテレビで紹介されていた。その社交界に入る条件は、働くことなく2億円の年収があること。
これを聞いて私の頭にすぐ浮かんだのは、「働かずに2億円の収入がある者がいるなら、合わせて2億円分の労働をしてもほとんど何も得られない人が沢山いるはずだ」ということだ。

オリンピックで金メダルを取って大スターとして迎えられたフィギュアスケートの美しい女性選手を見ると、破れた者の無念さを感じ、どうにも見ていられない。病気とその治療薬の副作用と闘い、両親の生活費を背負いながら金メダルの最有力候補だった選手は、何でもないところで失敗。その4年前、どう見ても優勝だったはずが疑惑の判定でまさかの逆転負け。別に哀れむことも、ことさらたたえる必要もないが、わが国には敗者を気遣う心があったように思う。
それに、勝者をことさら引っ張り回す者の目的は金であり、想像力がなく退屈している民衆を利用しているのであるから。何度も書いたが、民衆に想像力が乏しく、簡単に扇動できるのは学校教育の成果である。

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