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2006.08.14

消しゴムは使わない方が良いか?

デッサンの際、消しゴムで消してはいけないという話を時々聞く。
それを、専門家が言うときはタチが悪い。彼らは、自分の専門が世界の全てなので、どんな場合も消してはいけないと言う傾向がある。
消してはいけないと言うのは、間違いなく職人画家である。例えば、イラストレーターやアニメーターである。彼らのトップレベルは恐ろしく絵が上手い。また、彼らの絵はスピードが命だ。消して修正している暇はない。
ところで、面白い話だが、工学機器の世界トップメーカーである三鷹光器では、入社試験にデッサンをやらせたことがあるという。上手い下手を見るためのものではなく、描き方によって人間性を見るためのものらしい。そして、消しゴムで消す者は発明家向きでないらしい。ただ、三鷹光器会長の中村義一氏によると、消すのではなく、描き直す人が良いらしい。何度も消して完成させるのは強引な性格であり、謙虚さに欠けるらしい。
職人画家と共に、発明家を目指すなら消しゴムは使わない方が良いらしい。

ところで、芸術家であれば、この程度のことをとやかく言うとは思えない。まあ、よほどタチの悪い芸術家は別である(笑)。
池田満寿夫は、「大胆に消せ」と言うし、自らも「消すのが好き」という。消し残した線が面白い効果を発揮することがあるという。さすが池田満寿夫と思う。

岡本太郎も言っているが、上手い絵描きに絵を教わってはだめだと思う。
たとえばゴルフを考えよう。プロがやっている、大きく後ろに振りかざすスイングは素人向きでない。あれだけ振りかざして正確にボールに当てるには相当な練習が必要で、素人がやってる暇はない。素人には、素人の打ち方があるが、誰も教えない。
絵も同じだ。学生時代から何百枚のデッサンをやった先生に素人がかなうはずもないし、同じレベルには決してならない。そして、そんな描き方をやる必要は全くないのである。素人の絵で大事なのは、描いていて楽しいかどうかだ。職人画家や美大の先生でも目指すのでない限り、専門家に絵を習うことは弊害が多いと思う。
池田満寿夫さんなどは、3回も芸大受験に失敗し、街の似顔絵描きをしていた時も、芸大の学生とバッティングした時は、かなわないからコソコソ逃げていたという。そして、街の似顔絵描き達から、下手すぎるので「俺たちの評判を落とすな」と言われたくらいである。絵の価値というのは、全く多面的であることが分かる。ちょっと評判の先生が何を言っても、傲慢さが見られる限り無視した方が害が少ないと思う。

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