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2006.08.21

学校美術教育こそ美術・情操教育のガン

学校で音楽や美術などの教育が無くなるなら、遺憾ながらそれは子供達にとって望ましいことと言わざるをえない。
いまや、優れた美術を学べる書籍・映像が過去から現在のものまで広く安価に世間に行き渡ってきており、何が悲しくて、押し付けられた、美術的・情操感覚的に致命的かもしれない教師に美術の偏見を植え付けられ、美意識を窒息させられる必要があろうか?仮にその教師が美術家として優れていた場合にも、かえって生涯に影響を残す独断や偏見を叩き込まれる可能性は高い。
岡本太郎さんの「今日の芸術」が長い間、絶版になっていたが、こんな良いものが美術教育で取り上げられたことも聞いたことがない。もっとも、この本でも、学校の美術教育はコテンパンに叩かれているのだが(笑)。
そして、日本の学校というものは根本的には変化したことがなく、半世紀前の岡本太郎さんの批判は現在でもピタリと当てはまる。

私も中学2年以来、ラクガキ1つしなかったが、それは真面目な生徒だったから、よけいに美術教育の影響を受けたことが原因と思う。
中学2年と書いたのは、3年生の時は、美術教師が気を利かせてか、面倒だったのかは知らないが、1年間ずっと美術の時間は自習であった。校内のどこにでも行ってスケッチする課題が与えられたが、私は今思えば無用な罪悪感に悩まされつつも1枚も描かず、級友と話したり、ケンカしたり、清純異性交遊(ちょっぴり不純^^;)で時を過ごし、それは学生時代を通じて最高の思い出となった。それは、授業時間中であるという意識が、かえって自由な感覚を強く感じさせたのが原因と思う。つまり、授業中に自発的にものを考えると言う、学校で禁止されたことを無視する機会があったことの幸運を味わったわけである。
その時間にゲーテもヘッセも読んだし、H.G.ウェルズのSFや科学の通俗本も読んだ。これらは今も生きている。
成績に関しては、課題を1枚も出していないにも関わらず、学科試験で点を取ったため、正常な成績となった。考えて見れば、自分の言いつけを守らなかった生徒にも、自尊心の満足を得るために悪い成績を付けるという復讐行為をしなかったところは良い教師であったと思う。確かに彼は芸術系学科の教師の中では、珍しく常識ある教師であったという感想はある(教師って、こんな風に生徒に評価されているものである)。
つまり、美術授業は無いのが最高であり、教師も不要であった。ルドルフ・シュタイナーは言っていたと思う。良い教師とは空気のごとしと。私の最良の教師は空気であった。

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Comments

たまたまこの記事を拝見しました。高校で美術の教員をしているものです。記事のような授業をしている教員がいたなら、これはその学校の生徒やその教員自身にとっても不幸です。しかし今の学校も、教員も、美術の授業も、そんなに捨てたものではないと思います。本県には、地域の人々、文化や自然と関わりながら、学校の美術を考え実践している教員(小・中・高校)も少なくありません。変化しない学校などありえないです。ぜひ、ほんものの学校の授業、美術の授業を見てください。あなたの、もったいない経験がわかると思います。

Posted by: | 2006.08.22 11:06 PM

初めまして。
元中学美術教員で、現在は海外にて美術教育に
携わりながら、創作活動をしているものです。

筆者が学生時代に受けた授業が、文章通り紛れも無い真実ならば、筆者のみならず学校・生徒・美術界においても大きな不幸であったと思われます。胸の痛む思いがします。
筆者の文章から伝わってくる、美術教育に対する大きな不信感も、無理もないことと感じます。

美術教育は長い歴史があり、日々変化し数え切れない人々が研鑽し、努力しています。それによって明らかに効果を上げている実践もあります。

Web上で美術教育を言及するならば、それらを広く深く知ってからでも遅くはないような気がします。著名人の著書からだけではなく。

Posted by: 鈴木良子 | 2006.08.24 12:54 PM

高校教師さん(お名前がなかったので)、鈴木良子さん、はじめまして。
コメントをありがとうございます。
私の話もまだ続きがありますので、お二人のお話も参考にして、さらに書きたいと思います。
気が向けば、また見ていただけると幸いです。

Posted by: Kay | 2006.08.24 10:08 PM

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