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2006.07.19

銀のナイフ

人が感じる好き嫌いなんて、過去の偶発的な経験に影響されていることが多い。
色、食べ物、服や靴の好み。あるいは、もっと単純にモノそのもの、例えば、サンダルが好きとか、帽子が好きなども同じ理由であろう。
その理由も、「好きな人が持っていた」というものが多いと思う。私に関して言えば、ほとんどそうだ(笑)。

ところで、私はナイフが好きだ。本来は「銀のナイフ」が好きなのだが、ほとんどのナイフは銀色なので、ナイフ一般が好きである(笑)。
その理由も他愛ない。
私は、20世紀の国家的文化遺産と思っているが、萩尾望都さんの漫画に「ポーの一族」がある。1970年代の作品と思うが、国家的文化遺産なので、当然今でも新品を買える(笑)。
この中で、銀色の髪の13歳の美少女メリーベルが、異母兄のオズワルドにナイフを激しくねだるシーンがある。
オズワルドは、メリーベルに銀の細いナイフを与える。
メリーベルは、実の兄エドガーをそのナイフで殺そうとする。愛するユーシスという青年を殺したのはエドガーだと思っていたからだ。
エドガーを刺せずに、逆にメリーベルがエドガーに抱きつくシーンがかなり萌えたというだけでナイフが好きになったわけである。
本当に他愛ないが、人間なんてそんなものではないかと思う(?)。


尚、上記ストーリーの詳細は以下の通り。漫画では、むしろ複雑で分かりにくいかもしれない
メリーベルは、オズワルドの家であるエヴァンス伯爵家の養女になる決意をした。しかし、メリーベルは、オズワルドの弟ユーシスを愛していた。メリーベルとユーシスには血のつながりはなかった。しかし、ユーシスは自殺した。メリーベルは形の上で、ユーシスの妹になる。
22歳の美青年オズワルドも、メリーベルが、父と父の昔の愛人メリーウェザーの娘であることを知らないうちは、メリーベルに心惹かれた(実際は今でも)。だが、どこかひっかかりを感じていた。それは、意識の奥で憶えていた、いつか父の館で見たメリーウェザーの肖像画にメリーベルが似ていたからだ。
メリーベルは、ユーシスへの想いを、ナイフで断ち切ろうとしたのか?
オズワルドは、メリーベルに銀のナイフをあげた。
そして、メリーベルの寝室に、メリーベルの実の兄エドガーが現れる。エドガーは、ずっとメリーベルの近くにいたが、姿は見せなかった。それでもこの時、メリーベルは驚かなかった。エドガーは別れを告げた。メリーベルの身体が震える。エドガーは「早くおやりよ」と言う。メリーベルは銀のナイフでエドガーを刺そうとしていた。メリーベルはエドガーがユーシスを殺したと誤解していた。ユーシス自殺の現場にエドガーがいたせいだ。実は、エドガーはユーシスの自殺を止めようとしたのだ。
しかし、メリーベルのエドガーへの想いが爆発する。幼い頃、エドガーと共に捨てられた時からずっと自分を守ってくれたエドガー。二人がポーツネル男爵に拾われ、しばらく平和に暮らしていたが、なぜかある日、自分は知らないうちにアート男爵家の養女になり、エドガーに逢えなくなってしまった。その間、メリーベルにはエドガーへの想いが募っていた。
二人は手を取り、部屋から去ろうとする。そこへ駆け込むオズワルド。「メリーベル、戻るんだ!そいつは人間じゃない!!」
メリーベルもそれは知っていた。エドガーは17歳のはずが、青年には見えなかった。彼の時は止まっていた。やがてはメリーベルも時を止め、永遠に13歳のまま、明日も美しい銀の髪を風になびかせることになる。

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