« 歩きタバコをする人間 | Main | 貧しい食事 »

2006.06.20

お嬢様の悲惨

いつの時代も、程度の差こそあれ、お嬢様ブームだと思う。
一般的なお勉強の他は、ピアノやヴァイオリン、ダンスに乗馬。庶民の娯楽や、低俗な趣味には決して触れさせず、身の回りのことは使用人がやってくれるので、高貴な行いだけすれば良い。
それでどうなるかはあまり興味がないが、そのお嬢様の身分は、多くの場合、父親の稼ぎに依存している。
ところで、その頼るべき父親が倒れたり、なんらかの事情で財産を失い、むしろ底辺に属する身分に落ちた時、彼女がどうなるかというのも尽きせぬ庶民の興味であるらしく、そのようなお話は昔から、各国に多くある。
皆様もよくご存知の「小公女セーラ」がそうであるが、セーラはなかなか強い子であったようで悲惨さは少ないが、それでも十分に可哀想で人気がある。

で、転落したお嬢様の悲惨さを、「ここまでやるか」というほど見せてくれるのが芥川龍之介の「六の宮の姫君」だと思う。私は思わず、芥川の人間性を疑った(笑)。
父親が死に、母親が死んでも、他にやることがないので、歌を詠んだり、お琴の稽古をする・・・とじっくり攻める。使用人がいなくなり、食べ物にも事欠き、姫を赤ん坊の頃から世話している乳母は奮戦するが・・・。
ある種、変態ともいえる芥川の感情のない淡々とした文章でとまどいもなくお話は進み、とうとう最後の最後まで描いてくれる。
三島や太宰同様、精神が死んでいた天才作家ゆえのためらいのなさ。確かに、芥川の辞書には「ためらい」の文字はない。

|

« 歩きタバコをする人間 | Main | 貧しい食事 »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference お嬢様の悲惨:

» 乙女ロード 散策 [ブログ広告批評]
 こんにちは  TB テスト失礼します。わ! [Read More]

Tracked on 2006.06.21 05:41 AM

« 歩きタバコをする人間 | Main | 貧しい食事 »