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2006.05.06

死の恐怖

若い時と、年を取ってからでは、どちらが死の恐怖が強いだろう。
一般的には、若い時と思うかもしれない。
自殺というのは、やや状況が特殊かもしれないが、聞く限りでは若い人の自殺の方が大方であっけらかんとしている。自殺者の割合が多いのは中年男性だが、こちらは余程の決意と精神の混乱がある場合が多いように思う。

英国SFテレビドラマ「謎の円盤UFO」(原題「UFO」1969 ジェリー・アンダーソン製作)の中でこれに関する印象深い場面があった。
沈没した潜水艦の中、司令官(役者は37歳)、大佐(役者は28歳)、少尉(推定30代)が取り残され、少尉が事故で死ぬ。大佐は「死を恐れたことなどなかったのに。今は・・・(恐ろしい)」と言う。司令官は「年のせいだ」と言う。大佐が「どういう意味です?」と聞くと、司令官は「年を取ると、命の大切さが身に染みてくる。人生の意味も分かってくる」と言う(日本語吹き替えもほぼ忠実な訳だった)。
この作品に、製作者のジェリー・アンダーソンが深い意味を込めていたのは、後のインタヴューでも明らかである。「サンダーバード」等の人形劇を作っていた時、黒人の人形を使うとプロデューサーに白人の人形に変えるよう言い渡されたこともあった。そこで、この「UFO」では、未来世界で人種差別を扱った。家庭問題や、「サンダーバード」では全く触れなかった地球防衛軍の予算問題までドロドロにドラマに持ち込む。
特に命の問題は、繰り返し角度を変えて扱っていた。このことが実に素晴らしい作品にしている。
(司令官の役者と大佐の役者は2005年、わずか6日違いで死ぬ。それぞれ72歳と63歳)

老人になると、あまり眠らなくなる。これは人生の残りを惜しむ無意識の影響という説もある。
そして、死ぬのが恐いのは、未来がなくなることの恐怖という説がある。未来を考えるのは過去の記憶があるからである。過去の記憶のない動物は死を恐がることはない。恐がっているように見えるだけである。
老人が比較的最近の記憶が薄れ、若い時の記憶が強いのは、死の恐怖をやわらげるためかもしれない。すると、記憶力抜群の老人は死の恐怖を免れない。

人生の価値が分かると、死ぬのが恐いというのは本当かもしれない。そういえば、私も子供の頃は死ぬことがほとんど恐くなく、今考えるとぞっとするような危険なことを平気でやったのは、幼いというよりは、人生の価値を認識していなかったからかもしれない。

20060505

GW一日一画、本日まで(笑)。
クリックすると大きな絵が出ます。

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