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2006.04.01

「美の呪力」を読む

岡本太郎の「美の呪力」を読む。
戦慄する。これぞ岡本太郎の真髄ではないだろうか?
「今日の芸術」は、歪んでしまっている日本の美術界を叩き潰し、一般の人にも(もちろん芸術家にも)芸術のあるべき姿(それは無限ではあるのだが)を取り戻して欲しいという願いから、やや洗練され過ぎの感があった。
しかし、この「美の呪力」は凄い。人間存在の根底を貫く荘厳さも恐怖も歓喜も生のまま取り出して示そうとする迫力がある。
生きたまま心臓をえぐり出す生贄の儀式も、悲劇であるには違いないし、矛盾や不条理であることも強烈に認めてはいるが、岡本太郎のあのぎょろりとした目が、いや、太郎の作品に必ず登場する「目」がそれを睨みつけ、一歩も引かずに対峙している。
醜いイエス、醜いマリア、そして、最高に醜い天使。だが、そこにこそ人間存在、地と天との狭間で苦悩しながら歓喜する生の人間がある。
そして「赤い兎」。岡本太郎の短い詩。わずか10文字が、私には岡本太郎の全存在であることが理解できた。
その詩とは「赤い兎をあげましょう」だ。
岡本太郎はそれを生命の幻想の造形という。幻想でありながら強烈な実感なのだ。それを誰にあげたいのかは分からないという。しかし、私は確かにもらった。もらったものは倍返し。期限が過ぎたら3倍返しが基本である。私も必ずあげようと思う。

岡本太郎が好きな赤で塗った本。加えて太郎の独断と偏見もたっぷりな本(笑)。是非ご一読を。

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