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2006.04.10

芸術と神秘思想

今現在、超能力を信じている人はどのくらいいるだろう?
超能力とまではいかなくても、血液型性格診断や星占いを多少は信憑性のあるものと思っている人は多いのではないだろうか?
最近、日本物理学界がこういう問題にどう対応するかを議論するシンポジウムを行うとかいう話を聞いたことがあるが、少なくとも国内ではこういった問題への取り組みはいい加減と思える。

さて超能力であるが、絶対にないとは言わない。言わないが、それは「あなたの家の裏庭に大判小判が埋まっていないとは言わない」というのと同じ意味である。もし、大判小判が埋まっていると主張するなら、主張する側が実際に掘り起こして持ってくる必要があるのは当然であるが、超能力に関してもそうである。そして、超能力について、そのような実証がなされたことは現実には一度もない。
同様に、血液型性格診断も星占いも、信じるに足る証拠はどこにもない。しかし、いまだに「私はA型だから性格は・・・」とか「彼はO型だから私と愛称がいい」ということが、明らかな冗談という雰囲気ではなく、それどころか普通に話されることがあるのは驚くべきことである。

30年以上も前と思うが、超能力者を自称する元奇術師のユリ・ゲラーが来日し、TVで超能力パフォーマンスを見せ、すっかり信じてしまった方々が沢山いて、その影響が今でも残っているような気もする。ゲラーは現在に至るも同じようなパフォーマンスを披露しているし、ここ数年は知らないが何度か再来日もしているようだ。

やはり20~30年以上前のSF小説やSF映画、ドラマ作品では、一般的な意味で超能力が存在することがごく普通に語られているものがよくあるようだ。
いや、フィクションだけではなく、自己開発分野での世界的に有名なものや、国内でも、有名なスポーツ選手を指導したことを謳うセミナーの中に超能力まがい、あるいは、ESPカードなど、ズバリ超能力を扱うものが、もしかしたら現在でもあるかもしれない。
これらの主催者が根拠としているものに、1930年代だろうか・・・デューク大学のライン教授が行った超能力実験で肯定的な結果が出たというものがある。成功哲学の権威と言われるナポレオン・ヒルを始め、クラウド・ブリストル、C.K.トーチェ、ジョセフ・マーフィーなど現在でも版を重ねているこれら成功法則の有名人の著書で、ライン教授の超能力実験が超能力存在の証明として取り上げられている。
(ただ、カードの裏側の記号を仮に透視できたとして、なんでそれがビジネス等の成功と結びつくかという点は全くいい加減である等、普通に読んでもひどい本ではあるのだが)
そして、そもそもライン教授の実験自体、まともに検証した科学的な人間で信憑性ありと考える者など一人もいない。実験方法の厳密さや統計の仕方など、全く信憑性に欠けるものである。なにより、あんな簡単な実験なら、もし本当に信憑性があるなら、何度でも実験が繰り返され、その中で実験方法も進歩し、統計にも信憑性が増し、多少は説得力ある資料になっているはずである。

では、芸術に関しての神秘思想はどうであろうか?
絵画の中で天使が飛んでいようが、見たこともない怪物がいようが、地獄や天国が描かれていようが誰も文句は言うまい。
岸田秀氏が「芸術家は公認の嘘つき」と書いていたが、まあ、言い方に配慮は必要としても、絵画の嘘・・・というか、現実にはないものを想像するのは人間の素晴らしい能力と認められているのであるから、全く問題はない。
問題は、芸術や想像を現実と混同することであると思う。確証は無いが、優れた芸術家には、あまり夢想家はいないのではないかと思う。夢想家の作品が厳しい現実を生きる者の共感を呼ぶとは思えない。特に今後はさらにそうで、他の分野で長年活躍して後に芸術家になった者の作品が評価される時代になると私は思う。

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