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2006.03.22

みんなこうして天才になった

コリン・ウィルソンは「至高体験」の中で、「いかなる天才も内的な衝動にすぎない」と書いていた。
しかし、これでは足りない。
ロック狂が「最高だぜえ!」とギターを鳴らしている時、確かに内的衝動がある可能性もあるが、彼は天才ではない。
しかし、彼がマシンガンを構えた兵士達の前で演奏したら天才になれる。ただし、立派に演奏できればの話だ。
つまり、気持ちいい高揚感など、天才と何の関係もないのだ。
内的衝動とは、自我を破滅させるほどのものでなければならず、しかも、意思の力でそれに耐えることで天才になる。
コリン・ウィルソンが天才になったのは、青酸カリを口に含む刹那であった。しかし、彼の意思は幸運にも冷静であった。彼は自伝にこのことを書きながら、なぜか天才の秘訣を誤解している。彼は天才になり、その数年後に世界的作家になったのだが。

断っておくが、自殺志願者が天才になれる可能性は最も低い。なぜなら、自殺とは、自我を意思の力で支えることを諦めた者が取る道で、天才に最も重要な意思の力を欠いている。
(三島由紀夫などの例はまた意味が違うが、今考える余裕がない)
ウィルソンはそれまでに精神を鍛えていたのと、彼の自殺の動機はいわば、自我を消したいというよりは、この世の不条理に対する反抗であった。

ところで、「フランケンシュタインの城」にウィルソンの少年時代の面白く、ためになる話があった。ウィルソンは、弟と遠出したが、帰り道で道に迷い、すっかり暗くなり、しかも冷たい雨に降られる。弟は泣き喚きパニック状態だ。ウィルソンもそうしたかった。しかし、「兄である」という自覚が、「しゃんとしている」ことを自分に命じた。その時、ウィルソンに力の感覚が沸きあがる。彼は天才力を発揮し、無事帰還する。

邦画「地獄変」で、仲代達矢演じる絵師良秀は、娘が生きたまま火に焼かれるのを凝視し、「地獄を見て」、それを見事に絵にする。
彼の意思は自我の崩壊の危機を耐え抜き、天才になり、名画を描くが、その絵を見た、良秀の娘を火あぶりにした主君は自我を崩壊させた(軟弱な意思の持ち主であったので)。

内的な衝動(自我を崩壊させるような揺らぎ)と意思の力が天才の秘密なのだと思う。

20060321
恒例のラクガキです(笑)。
「あの娘っこさ、嫁にしてえ」
「馬鹿こくでねえ、あれはまだ13か14で、しかも、カールが息子の嫁に狙っとる」
「ほんとだべか?しかし・・・」
「カールの息子は利口そうだ。おめえなんか相手にならんべよ」
こんなアホなことを考えながら描きました(笑)。

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