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2006.03.16

家康の秘訣

実話かどうかは怪しいが、徳川家康が、天下を取る秘訣を尋ねられた時に「長い方、短い方のいずれがよいか?」と言い、質問者が「両方お願いします」と言うと、こう答えたらしい。
「短い方は『上を見るな』、長い方は『身の程を知れ』である」
こんなことを聞いた時、そのまま受け取って感心してはいけない。いかなる言葉も、その人物のバックグラウンドを考慮する必要がある。

ソクラテスの有名な言葉「汝自身を知れ」も、「身の程を知れ」という意味らしいが、ソクラテスの場合は、神々との比較においてであったと思われる。
しかし、家康は他の人間を対象として考えていたと思う。

家康は、幼い頃から人質としてあちこちでたらい回しされ、忍従の生活を送っていたと学校で習ったが、案外、のびのび楽しく暮らしていたとも言われる。私もそうだと思う。もし本当に幼い頃から抑圧された窮屈な生活を送ると、例えば、そのような幼少時代を送った三島由紀夫や芥川龍之介のように、秀でたところがあっても自我は危ういままで、若くして自殺したように、あまり確固とした自己を確立できないように思う。
家康は幼い頃から良い教育を受けていたことが明らかなように、やはり大事にされていたと思う。
同時に、あまり知られていないが、家康はあらゆる武芸に通じていたが、一流の先生に学んでいる。武芸にしろ、演芸にしろ(スポーツもだが)、それに取り組むメリットは、「上には上がいる」ことを知ることである。そして、あまり上達しない者は自分を過大に評価して慢心している者が多い。家康は、武芸の訓練を通じて、「身の程を知る」教訓を得たのではとも思う。
特に、人間は年を取れば取るほど、また権力でもあればなおさら自分を過大に評価するようになり、身を誤るものである。家康が死ぬまで、いや、死して後も長く徳川家が安泰であったのも、家康が謙虚さを第一の戒めとしたことと関係があると思われる。

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