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2006.02.07

芸術と猥褻の違い

今回は芸術に関して良い話ができると思う(思うだけかも・・・)。

芸術と猥褻の違いなんて、およそ芸術に興味を持っていれば一度は聞いたようなことと思う。
そして、有名な先生がいろいろ言ったり書いたりしているはずだが、特に世間で通っている論もないだろうし、私もいろいろ読んだり聞いたりしたが、憶えているものは全くない。なぜ憶えていないかというと、説得力がないからであり、なぜ説得力がないかというと矛盾した内容のものばかりだったからだと思う。
しかし無理もない。そもそも「芸術とは何か」「猥褻とは何か」すら、難しいというより曖昧な概念であり、その違いとなるとさらに曖昧で、ほとんど意味はないはずである。

あえて分かりやすく簡単に言うなら、こう言って良いと私は思う。
「芸術とは猥褻である」
別に両者は異なるものではなく、違いのないものの本質的な違いを論じるなんて無理なことである。
しかし、こう聞かれたらどうするだろうか。
「猥褻は芸術か?」
なるほど・・・お若いのになかなかオツムのよろしいことで(笑)。

ここで、さきほど「芸術と猥褻の違いに関する、偉い先生の論で記憶にあるものがない」と言ったが、1つだけ憶えているものがあったことを思い出した(健忘症か?)。
池田満寿夫さんが本の中に書いていたことである。
池田満寿夫さんは自分の作品を猥褻と言われても恥じることも怒ることもなく、むしろ喜び、ある女性に「あなたの作品は猥褻な感じがする」と言われた時、至福を感じさえしたようだ。よって、彼においては、「芸術は猥褻である」ということが成立している。
そして、池田満寿夫さんが「芸術はソフィスティケートされている」と書いていたのを印象深く憶えている。
sophisticate・・・洗練させるという意味である。精巧にするとか凝るという意味もある。しかし、世間慣れするとか、こじつける、気取る、まぜるという、ややマイナスの意味もある。
池田満寿夫さんは、長い海外生活で、一応の英会話は出来たようだが、かなりいい加減で怪しいものだったと思う。しかし、そこは芥川賞作家だ。適切な言葉を選んだものだと思う。

芸術はソフィスティケートされた猥褻なのだと思う。良い意味でも悪い意味でも。あまり精巧な猥褻はマズいが、何かの意味で凝ったり、まぜたり、場合によってはこじつけているし、その芸術家なりの基準で洗練させているのだと思う。
そう考えれば、ソフィスティケートこそ芸術の本質であるとも思える。
逆に、ソフィスティケートされていない猥褻はどんなにリアルでも芸術ではない。
池田満寿夫さんは、自分の芸術を「便所のらくがき」と言ったが、ソフィスティケートされた便所のらくがきであり、言い方を変えると、らくがきも漫画もある種のソフィスティケートが行われると芸術になり得るのだと思う。

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