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2005.12.13

コリン・ウィルソン

私にとって、コリン・ウィルソンほど興味深い人物はいない。
ウィルソンは英国の作家で、23歳の時に書いた「アウトサイダー」でいきなり世界的作家になった。彼の作品は純粋な小説はむしろ少なく、哲学というのともまた違い、研究報告と思索が一緒になったようなもので、テーマは「人間性の回復」である。
私はウィルソンの本に書いてあることが全部正しいとは全く思わない。特に古いものの中には明らかな誤りや、「おいおい、いい加減にしろよ」と思いたくなるような考察もないではない。
しかし、彼の天才的な洞察力や、数万冊の書物を読破した超人的知識はただものではない。
また、それだけではなく、ウィルソンの思想を構築した青少年時代がとても良い。
子供の頃から本好きではあったが、およそ二十歳そこそこまでのウィルソンはろくでなしと見なされても仕方なかった。
学校は15歳まで。進学の意思はあったが家庭の事情で断念。その後は、お手軽な仕事(簡単な事務作業、雑役等)については、すぐに嫌になって転職を繰り返し、当然お金も、固定した住居もなかった。とはいえ、こういった経験すら、彼には深く思索する材料であったと思う。いや、こんな経験こそが真の人間性の理解に役立つと思えてならない。
ともかく、こんなウィルソンが世界的作家となり、著名な心理学者エイブラハム・マスローと彼の生涯に渡り深く交流し、大学の彼の教室で講義を行った。

ウィルソンの著述分野は、「まっとうな」学者が行うような分野とも重なると思えるが、青年時代をケンブリッジで過ごした学者にはおよそ縁のない経験が持ち味となり、作品に現実味をもたせている。
作家だけでなく、芸術家一般においてもエリートコースを辿った者の作品は深みや「細部に宿る神」に欠け、ウィルソンのように放浪時代があるのが好ましいと思う。
ウィルソンは、日本でも、海外の作家で翻訳されている数で間違いなく最も多い一人だと思う。

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Tracked on 2005.12.25 11:22 PM

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