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2005.12.06

小学校の美術の時間の想い出

良い話を聞かせる(本当か?)。

小学校4年生の時、美術の時間で自画像を描くことになった。
鏡の持参は許可され、女子はお母さんにコンパクトを借りてきたりしていたが、嬉しそうであった。しかし、男子はほとんど鏡を持って来た子はいなかった(やる気なしか?)。
しかし、一人の男子が、大きめの鏡を持参し、熱心に描いていた。彼は、勉強は1番、スポーツも得意で、その他、オールマイティな上、性格も抜群に良く、正義感が強くリーダーシップもあるという・・・どこを叩いても欠点が無いという優等生であった。
ただ、彼には他の誰にもない不幸なものがあった。それは、顔の半分に大きなアザがあることだった。それはひどく目立ち、しかも大きいので隠しようがなかった。彼は、それは生まれつきだと言っていた。
当時は、子供でもあったし、彼は性格が明るく気に病む様子も全く見せないので、そんな彼が自画像を描くとはどういうことか、私は(多分、他の子も)あまり気にしなかった(もちろん、全くではない)。
いつも通りに、彼は熱心に集中して描き、見事な自画像を仕上げた。顔のアザもリアルに描き込んであった。

小学校の美術では、自分を絵の中に描くような課題はよくあると思う。その後、家での自分の様子を描くことがあった。例の彼は、お父さんとキャッチボールをしている様子を描いていたが、不意に私に絵を見せながら尋ねた。
「この顔の角度だと、これ見えるか?」
彼は、自分の顔のアザを指さした。
「いや、見えないよ」
私は答えた。
「ああ良かった!」
彼は明るく言った。しかし、ほっとしたという感じの「良かった」ではなかった。笑顔だった割には感情が入っていなかった。明るく言ったのは、むしろ私に気をつかったようにすら思えた。深読みをすると、わざわざ私に尋ねたのは、見えるはずなのに、自分がわざと描き入れなかったのだと思われるのが嫌だったのかもしれないと思った。
そして、このことで、本当は彼も描きたくはないのだという基本的なことが実感できたように思えた。
言うまでもなく、彼が顔のアザを気にしていないはずはなかった。しかし、実際、私には、それが彼の欠点と思えたことは一度もなかった。

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