修正した絵は良くなるか?
油絵となると、その絵がどのくらいの修正の後に完成したものかを知るのは難しい。
しかし、版画であれば、一応完成した時点で刷ってみるし、制作中の試し刷りもあり、刷ったものが残っていれば修正の様子を知ることができる。
ピカソの版画の修正履歴はすごいものだったらしい。修正しているうちに全然違う絵になったり、修正結果、かえって悪くなった(と思われる)ものがあったりと、天才とはいえ、このあたりは我々のやることと案外似ている。
音楽家も譜面の修正は当然あるだろう。ベートーヴェンはある一音を何十回となく修正し、結局最初の音を採用したということがあったという有名な話がある(もっとも、修正後の音を採用したケースと実際にはどっちが多いのかは分からないが)。
美術史上最高の傑作は何かとなると、そんなこと分かるはずもないが、ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」を上げる人も多いと思う。
ダ・ヴィンチは「モナ・リザ」を生涯手元に置き、そして、その絵の左手を生涯に渡って修正した。しかし、私の感想だが、その左手が実にヘンなのだ。
後でいろいろ考えたものより、最初に閃いたものが一番良いということも多いが、「モナ・リザ」も一番最初に描かれた左手が一番良かったりするのではないかと勝手に想像してみたりする。
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