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2005.11.19

絵を描く勇気

私は星野富弘さんの画集と本を何冊か持っています。
花の絵に肉筆の詩が書かれていますが、花やブドウの絵は生命感に溢れ、リアル以上のリアルを感じます。
ご存知の方も多いと思いますが、星野さんは首から下が動きません。中学教師をしておられた24歳の時、クラブ活動の指導中に頚椎を損傷し、それまで身体に絶対の自信を持っていたスポーツマンの青年が一瞬で身体の自由を失くしたわけです。
星野さんは絵や字は口に筆をくわえて描きます。

ある死刑囚は星野さんの本に感激し、中学生の時以来初めて絵を描きはじめたのですが、こちらも見事な絵でした。彼はもう死刑が執行されているかもしれません。私は、この話を知り、私も中学生以来初めて描きはじめた絵を少しはちゃんと描こうと思ったものです。
岡本太郎さんは、「絵を描くことは疑いなく人間の本能的な衝動である」と言い、「表現欲というのは一種の生命力で思いのほか激しい」と言いましたが、極限の状況で描かれた絵を見ると勇気を与えられるように思います。
これは励ましでもあるのですが、昨今は癒しブームとかで安らぎを求める人が多いように思います。しかし、生きている人間に必要なのは癒しではなく勇気のようなものと思います。死の直前にも安らぎを激しく拒否したイェイツが、没する1週間前に書いた「黒い塔」という詩から感じる精神の強い生命力を想うと、安易に癒しを求めることの愚かしさを感じるように思います。

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