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2005.11.20

アンデルセンの作品を描いた画家

アンデルセンほど、多くの画家に絵のモチーフを与えた作家は少ないのではないかと思います。そして、アンデルセンの作品を絵にした画家には、深くアンデルセンの作品を理解し、共鳴した人が多くいます。そのため、その絵はさらに深く情感溢れるものとなり、アンデルセンの読者はさらに深くアンデルセンの世界を感じることになります。
日本の画家では、いわさきちひろさんが間違いなくその一人です。いわさきちひろさんは、アンデルセンの童話の挿絵を沢山描きました。同じ作品であっても何度も描きました。
ところで、いわさきちひろさんは1933年生まれで、1974年に亡くなられています。少し昔の画家です。しかし、今見てもその新しい感覚に驚きます。古臭さが全く無く、知らない人は、現代の画家だと思うかもしれません。

いわさきちひろさんのアンデルセン童話の絵の特徴の1つは、たとえ「マッチうりの少女」のような悲しいお話でも、必ず少女の可憐さを表現することです。ちひろさんの「マッチうりの少女」の主人公はとても可愛いです。当然、人魚姫やおやゆび姫も可憐です。
このあたりは、アンデルセンと同じデンマークの画家で、やはりアンデルセン童話の挿絵で有名なスベン・オットーとやや異なります。どちらが良いとは言えませんが、ちひろさんのこの描き方は私は好きです。どんな哀れなもの、みすぼらしいもの、あるいは呪われたものにも、その中に必ず美しいものを秘めていることを思わせます。そしてそれは、どんな悲惨な人たちの中にもキリストを見たマザー・テレサを思い出します。
そして、つくづく、絵に情感を込めるものは、その画家の人生経験ではないかと思います。ちひろさんは第二次大戦後、疎開先から東京に出て戦災孤児をスケッチしました。新聞社で働きながら、絵の勉強に励みました。結婚するも夫は自殺。そのような、苦労、努力、悲しみを乗り越えて精神を磨き上げてこそ、素晴らしい絵が描けるように思います。

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