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2005.10.09

絵はお里が知れる?

アンドリュー・ルーミスの「やさしい人物画」という初級の絵画テキストの中に、

長い日常生活で身に付けた具体的知識を馬鹿にしてはいけない

と書いてあるのを再び読んで、まさに真髄であると思った。
他の画家が、豪華に飾り立てた背景を描けるのと同様、貧しく育った者は荒れ果てた家を美しく描ける。

岡本太郎が、名著「今日の芸術」で、日本の画家が、西洋画によくみられる、ソファーやベッドに横たわる裸婦を描く滑稽さについて「あんたのかーちゃんやねーちゃんが、家で裸でコロコロしてるのか」と書いている。鍵をかければ誰か入ってくる心配がないヨーロッパの家では、とくに夏なんかは本当にかーちゃんもねーちゃんもすっぽんぽんになることがあるのだ。

海外で池田満寿夫の版画が世界的な賞を次々に受賞して成功する中で、同じく海外で作品を出展しても全く認められない画家が池田満寿夫にこう言ったらしい。
「お前が成功した訳が分かった。版画であることよりも、お前の作品が小さいからだ」
確かに池田満寿夫の版画は小さいものが多い。多くの作品が長い方の辺でも40センチ以下。縦横共10センチそこそこのもある。
池田満寿夫は、「小さいから成功した」ということに同意し、その説明をしている。
西洋人と日本人では空間感覚が違う。日本人は西洋人のように雄大なものはうまく描けないかもしれないが、小さなものを精密に作れる。

横尾忠則によると、シャガールの絵の題材は神話や聖書を除けば、やはり故郷の村であるそうだ。いや、神話や聖書も西洋人には幼い頃から馴染んだ世界である。

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